私はこの間、手塚治虫の文庫版MWを読んだ。

 まずは、あらすじから解説していこう。

 幼いころ、ガス兵器「MW」に巻き込まれた結城と賀来、結城は復讐心、ガスを己のものにするためにあらゆる犯罪を行うピカレスクものである。

 

 本作は読んで驚いた。

 あの時代に同性愛を作品の中に取り込んだこと、賀来神父の罪の意識である。

 賀来神父と結城は何度も関係をもつが、結城は複数の女と関係を持ち、冷徹に騙しまくる清々しい悪さだ。一方、賀来神父は結城と関係をもったことを告白し、罪の意識に囚われるも、誘惑には抗えない人物だ。

 また、賀来神父は何度も悪行を繰り返す結城に対し法の裁きを求めるも、神父としての立場から「罪を救う」ため、何度も見逃し誘惑に抗えていないブレをもった人物像が好きである。

 

 面白いので、一読をお薦めする。