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「サイコパス」
最近、私はこの言葉を聞く機会が多い。
理解できない、また拒絶したい人への悪口、侮蔑の言葉としてよく聞く。
何故、悪口として使うのだろうか。
そもそも、サイコパスとは何であろうか。
答えはインターネットや本などで見ることができる。
サイコパスは現在、反社会性パーソナリティ障害といわれる障害である。
ここまで読んで何か既視感を抱いた読者も多いことだろう。
人を病気や障害でバカにする、こういう風潮はネットでよく見るのではないのであろうか。
ここまで話を進めて分かったことがある。
歴史を勉強すれば、障害や病気で人が人を差別してきたことが分かる。
例えば、ハンセン病は多くの人が差別されたし、障害を持つ人を強制不妊手術をする旧優生保護法という法律は、本邦では1996年まで施行されていた。
この歴史を背景とした悪意とネット上の悪意には決定的な違いがある。
それは、「サイコパス」はネットスラングとして使われるということである。
これで答えが出る。
ネットスラングであるから、「草」とか「www」のように現実で使う人はいない、というかイタイのだ。
何故、「サイコパス」を悪口として使うのか、それはイタイからだ。
もちろん、イタくないとしてもやみくもに使っていい言葉ではない。
また、イタイだけならまだ可愛いが、誤った使い方で悪意を伴った言葉は突然変異するウイルスのように多くの人に広まる。
火が人間の発見した道具なら、言葉は人間の発明した道具である。
私たちは「言葉」という突然変異を繰り返し、伝わっていく厄介な発明品と格闘して生きていくのだ。